木々に囲まれ水が流れる場所は如何に涼しいかと思いきや、汗は滴り落ち、服が前とうしろと肌に密着してくる有様だ。お盆の中にさらにお盆を用意したような、日本の夏のいやらしいところが凝縮されている。並べられた本の背と横腹をなんとか目で追っていくが注意力は散漫。蝉の声と砂利を踏み締める音がこだます。数冊を小脇に抱え、西日に焼き尽くされないよう日陰に避難していると放送が流れる。
「かき氷がタイムセールです」「330円が230円です」「数にかき氷がござい…」「数に限りがございますのでお早めに」
子供の声の放送は少しはにかんだ様子だった。数に限り…かき氷…その言葉のリズムを口の中で反芻してみる。