memory8

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無心で走っていると、今までに走ってきた経験の断片が、ワッとフラッシュバックすることがある。

思い出や記憶とはまたどこか違う。懐かしみながら、連想ゲームのようにたぐり寄せて意識するわけではないので、おそろしいほどに一瞬。右足が踏み込み、地面を蹴り上げ、左足もまだ着地しない、身体が完全に宙に浮いてる刹那ほどだ。

そしてその感覚は大学生、高校生、中学生とどんどん過去へと、過去というよりは走ることをまだ、ありのままに受け入れていた経験へと遡っていっている。

事実を生のままで受け入れ経験し、哲学する。純粋。原体験を重んじ、美意識となす。大抵は同じことを、あの手この手でこねくり回して言い方を変えてるだけなのかと薄々気づき始めたので、古典にもようやっと手を出そうかと思えるのだった。