memory23

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昔々、いつも親にさからってばかりいる雨蛙の子がいた。死期の近いのをさとった親蛙は、子を呼んで「死んだら川のそばに埋めてくれ」と頼む。そうすれば山に埋めるに違いないと思ったのだ。しかし心の中ではこれまでの親不孝をすまなく思っていた子蛙は、最後ぐらい親の望みをかなえてやろうと、言われた通り川のそばに埋めた。だからいまでも雨が近づくと、川水があふれることを心配して蛙が鳴くのだという。

(引用:雨のことば辞典)

日本に住んだことのない人からすると、鈴虫など日本人が聴くと風情を感じる音はただのノイズでしかないらしい。おそらく蛙も例外ではないだろう。そんな蛙の鳴き声に物語をのせる日本人の感性は当たり前ではなく、知らないだけで当たり前なのかもしれない。

何はともあれ、蛙の鳴き声がどこか泣き声のように聴こえるのは自分だけではなかったようだ。