memory14
「音で形を感じれるものがあるとするなら、音の波形以外に何があると思いますか?」
「まず『形を感じる』ということは五感のうち①視覚的にみること②触覚的にふれることのどちらかに当てはまる。そして、前提として①も②も空間が必要である。」
「それなら『音で形を感じる』にはどうすれば良いか。音は耳から入る。音は時間と共に変化し、流れて行く。しかしそこに空間という概念はない。」
「耳から入る音で時間を感じることは出来ても、目や肌のように空間を感じることは難しい。しかし例外として、①は人によっては音に色を見出す人もいるし、②は空気を震わすほどの音圧は肌でも感じ、黒板をひっかく音は背中を引きつらせる…まるで音が直接肌をつっつくように。また、実物はそこになくても、ある音を聴いたら過去それと同じ音を聴いた場面が頭の中に浮かぶことがある(見たことない風景が現れることもある)。頭の中で見ることも、一応①の視覚的にみることに入れておく。」
「以上のことから、『(時間と空間、つまり時空を越えて)音で形を感じる』にはi:生まれつきの体質 ii:音圧を増やす iii:記憶を刺激する音を再現する、あたりだろうか。iは先天的なものなので、iiとiiiが時空を越えられそうな方法ではある。が、iiは音の波が振動するさまを肌がビリビリと受けるだけであり、iiiも特徴的な波形が作用してるだけなので、結局のところは『音の波形』と言いまとめてしまえるだろう。」
「…蛇足にはなるが、音の重なりのハーモニーもある意味空間を成しているので、それも一つの答えかもしれない。」
「君はどう思う?」
「ⅲから発生する自分の記憶とかふとした感情からくる喉の震え、倍音とかは感じます。波形てきなものですかね。あとは他者を刺激した際にでる反応(表情、声)も別の形で面白いかなと。」