issue3
緑と青をめいいっぱい広げた上に、鮮やかな果物が浮かぶ。
私はそれをまさに射ろうとした。
突然、音が後ろから鳴る。
振り返ると、既に音の主はとった果物を小さい窓から窮屈そうに眺めていた。
忙しなく動く手元に急かされるように、顔を前に戻す。
果物は少し色褪せたように見える。
震える指をぐっと押し込む。
コトン。
と、振動を手の中に感じた。
箱の中身はヒンヤリとしていて、じんわりと体温を手元から全身に伝えてくれる。
微かに、さわやかな風が鼻の奥を通り過ぎた。
安堵した私はまた歩き始めた。