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友人がエドワード・ゴーリーの展示会の存在を知らせてくれたので、2日目の始まりはこの展示へ足を運ぶことから始まった。
エドワード・ゴーリー。「うろんな客」という絵本が日本では大人も読める絵本として有名であり、僕もその事実を知るぐらいでその他のことは正直一切を知らなかった。前情報も少ない展示に臨む、これぞシンクロニシティの一端。
展示会の看板とチケットは少し暗めの青色をしていて、その日猛暑日を記録した朝には適度な涼しさを足してくれた。
入ってすぐのところに物販コーナーがあるのは驚いたが、あとの楽しみとして残しておく(給食ではいつも好きなものは最後に残していた。それは今でも変わらないのだが、みなさんはいかがでしょう)。
平日の11時ぐらいに訪れたものの既に会場は人の呼吸、衣が擦れ、足を静かに運ぶ気配で満ちていた。美術館特有のこのしんしんとした空気は、時の流れを忘れさせてくれる。だからこそ美術(二次元)を画面(二次元)でみるだけでなく、空気(三次元)を感じにみな美術館に足を運ぶのだろう。
細かい内容に関しては割愛するが、印象に残ったのは
・ゴーリーの「生まれ変わったら石になりたい」という言葉
・「源氏物語」をゴーリーは読んでいたこと
・「蒼い時」という絵本
・上記の絵本の中にヘンテコな日本語があったこと
展示会のチケット、看板の涼しげな青。実際には「蒼」は、この絵本からきていたのだろう。蒼を背景に不思議な二人がよくわからないことをよくわからないシュチュエーションとともに綴る。物販にもしも「蒼い時」の絵本があれば買って帰ろうかと思ったが、やめた。そもそも置いてなかった(!)のと、この蒼色、ある1ページはゴーリー本人が彩色したものだが残りは印刷会社がその色を参考にして色をのっぺりと置いていただけらしい。うーん、なんとも…。
タロットカードはかなり後ろ髪を引かれる思いをしたが展示も物販も一通り見終えて次の目的地に向かう道中。SNSで数字だけはやけに多い、酒場のトイレに貼ってあるようないい言葉風の呟きが届く。少しばかり、頭の中に蒼色が入り込んでくる。あの二人の影がちらつく。
うーん、なんとも、SNSの影響は悪い面が多い気がする。