issue11
私の本当の私はいったい、どれなの?
自分の姿を見ようとしても、何かが映っていると認識した瞬間には、もう相手の姿になっている。
思わず、ため息を漏らす。
一切の混じり気のない自分を見ることは、眠りに落ちる瞬間を捉えることのように、困難だ。
だけど、焦ることはない。
君が映し出すものは総じて、君自身なのだ。
相手が何であったとしても、相手によっていくら姿形が変わろうと、君自身なのだ。
それを聞くと、鏡は人の姿に戻った。
いや、成ったと言う方が、正確だろうか。
いずれにせよ、ここでは些細な問題だ。