白衣を着て虫取り網を片手に持つ

一生に一度あるかないかの機会にトンボを捕まえる

網の中で死んだかのように動きを止めた姿

どこを持てばいいのか逡巡しながらも、羽の付け根ではなくその少し後ろのピンとしたところを持つ

すると、トンボは機械仕掛けのおもちゃのように一定の動きを繰り返す

上体を曲げては伸ばしてまげてはのばして

腹の節目も延びては縮みのびてはちぢみ

その生き物の生々しさと虫の機械らしさに脆さを感じ取る

外に出て解放してやると姿勢良く空へとかえっていった

幼年の姿を重ねるがあの頃は無邪気だった

童心にかえることはあれど無垢な気持ちまでは取り返せない