memory19
写真には眩しそうにしかめ面をする人が映っている
次の写真に目を移すと今度は別の人の横顔が映る
残りの写真も登場人物は二人、交互に出てきている
そして最後の写真には質素な建物をバックに、二人が並んで映っていた
これらの写真は白黒なので、朝なのか昼なのか、夕方なのか、晴れているのか曇っているのかわからない
どんな色の服を着て、どんな輝きの車に乗っているのかわからない
露出を間違えているのかやけに白飛びもしており、認識するのに必要最低限の時間と空間しかそこには存在しない
それでも写真を撮っている人の呼吸、シャッターを切る時の緊張、撮り終えた満足感にカメラを下ろし、駆け寄る姿が情景として浮かんでくる
綺麗に撮れただろうか?綺麗に写っていただろうか?心の中でほんのちょっと前のことを反芻する
レンズを通して分断されていた二つの時間はまだ少しばかりはにかみを含みながらも、また一つに戻っていく
この写真は、現代人にはもう撮れない
例えまだ撮れたとしてもいずれ、その日はやってくる